WORKSHIP COLUMN Vol.11


■「歌舞伎と花道」

趣味は舞台鑑賞です。
舞台に魅せられて早数年。大小規模問わず様々な劇場に足を運んでいます。

昨年末、京都の先斗町歌舞練場へ歌舞伎を観に行きました。
お芝居が終わったのち、所作と呼ばれる踊り演目が続きます。今回は「京鹿子娘道成寺」という演目でした。

美しい踊り子の女性が、寺の僧に見せる豪華絢爛な踊りを私たちもただひたすらに楽しむ舞台。ストーリーはゆるく、前知識が少なくても楽しめる演目でした。傘を使ったり太鼓を使ったりと踊りのバリエーションは多岐に渡ります。舞台上で一瞬にして衣装を変える演出「引き抜き」が特に圧巻。「○○家!」といったような歌舞伎特有の掛け声も心地よく、世界観にどんどん引き込まれていきました。
 終盤、女性が蛇の妖怪となって本性をあらわします。寺の中で暴れて、花道を通って外に出ようとする妖怪。それを阻むように屈強な男が現れます。男は真っ赤な隈取をしており、衣装も派手でとにかく強そうないでたちです。ド迫力のバトルの末、男は無事妖怪の怒りを鎮め、寺に平和が戻るのでした。

妖怪や物の怪を花道から舞台上に戻す演出は「押し戻し」と呼ばれ、非常に重要な役割を持つそうです。この時代、舞台上はある一種の結界として捉えられていました。板の上では役者が扮している物の怪も、外に出すと実体化し危険だと考えられていたとか。物の怪が花道から劇場の外に出てしまわないよう、男がしっかりと舞台上に押し戻すのです。舞台上から客席の中を貫くように伸びる花道は歌舞伎固有のものです。異空間である舞台上と、現実空間である客席をつなぐ中間領域として、花道が位置づけられているんだなあと改めて思いました。

なかなか歌舞伎は敷居が高いと思っていたのですが、実際見てみると当時の人々の価値観が感じられて面白かったです。次は大阪の松竹座にも行ってみたいと思います。

執筆者:宮地 果琳

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